ごく普通の精神科医がごく普通の日常を綴っています
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巣立ち

今年、息子が高校を卒業する。
昨日は、その卒業式だった。

息子の行く高校は、基本的に私服が許されているので、3年間ほとんど学生服を着ることがなく、高校入学の時には特に新調することもなく中学の時の制服を着て式に臨んだ。
入学の翌日から、彼はずっと高校生活を私服で過ごした。

高校生になって身長が伸び、さすがに中学の時の制服では。。。と高校2年の時に学生服を新調した。
入学式や卒業式に参列するためだけの。。あるいは受験の時のことを考えて。

だから、この3年間、彼の制服姿をみるのは、数えるほどの回数だった。

卒業式の朝、その制服を身につけた息子をみて、おぎゃーと生まれたあの日から実に18年。。。
よく成長したものだとつくづく思った。
見慣れた私服と違って、やはりそれなりに制服姿というものはキリッとするものだと思った。
それに制服そのものがまだ新しい感じなので、卒業式と言うより入学式のように新鮮な感じ。
もう着ることも、みることもないであろうその姿をみながら、自分の母親としての役割の一区切りを実感した。
親からの巣立ち。。。そして新たなる旅立ち。。。新しい制服姿はその晴れ姿のようだった。

娘の卒業の時には、病気をして途中で休学し、復学後の卒業ということもあり、笑顔で歩いてくる娘をみて、涙がとまらなかった。

でも、今日はきっと泣かないで済む。。と臨んだ卒業式だったが。。。

祝辞や送辞、答辞の中に必ずでてくる震災と復興の話を聞いているうちに、2年前のことを思いだし、やはり涙が止まらなくなった。

心弾ませ入学し、1年間がようやく終わりかけた3月11日、あの震災が起きた。
その後のめまぐるしい生活の変化は、語りはじめるときりがない。

地震直後の断水生活。
給水のために朝早くからタンクをもって息子と並んだ。
それまでは、あまり頼りにならないところもあったが、力のない私を心配して一緒に並んでくれていた。はじめて、息子をいつの間にか頼もしく成長したものだと思った。
原発の事故のことを知ったのは、その後のことだった。はじめからわかっていたら、きっとあんな時に屋外に何時間も並ばせることはなかっただろうに。。。

原発事故のことが深刻になってからは、自分たちの身の安全や将来が見えなくなった。
役割上、ここを離れるわけにいかない私達だが、せめて子供だけは安全なところに。。。
そう思ったときには、ガソリンもなく、交通も規制され、身動きがとれない状況になった。
仙台行きのバスが復活すると聞いたとき、すぐにそれに乗せ、娘のいる仙台にとりあえず送り出した。
バタバタと急に決まり、いつまでそんなことが続くのかもみえないまま、不安もあっただろう。
家族がこのまま離ればなれになることもあるかもしれないと口には出さないまでも、彼自身もそれを覚悟していただろう。
その後、神戸の知人を頼って、姉弟で避難生活。
幸い、良い人達に囲まれて、ひとときの安らぎをえられたことも確かだが、先のみえない生活に自分たちがどうなっていくのか、考えない夜はなかったであろう。

原発の状況次第では、高校の転校も考えなければならなかった。
彼の友人の中には、(偶然なのだが)同じ神戸の高校に転校した友もいると聞いた。
もしかすると、自分が通った高校に息子も通うことになるかもしれないと考えていた。
しかし、幸いそれは免れ、今この卒業式を迎えている。入学した高校で卒業式を迎える。。
当たり前のことだが、その頃はそれが当たり前ではなくなっていた。

自分ではどうしようもない環境の激変に耐え、部活動、学業と彼なりに努力をつづけてきたことだけは確かだ。
後輩達に慕われ、学友達に囲まれて、入学したこの高校を卒業できたことが、もしかすると奇跡なのかもしれない。

そんなことを思いながら、涙の中、彼を見つめていた。

この春、彼は自分が目指していた大学に入学することが決まっている。
この3年間の貴重な経験は確実に彼に何かを残し、成長させてくれたと思う。
そして今ここに自分の足で、着々と自分の人生を歩き始めている彼がいる。

親としての役割が一つ終わる日。。。

ここから大きく羽ばたいて、いつか親を超え、私達が「参りました」と言える日がくることを期待している。

卒業、おめでとう。


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