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ごく普通の精神科医がごく普通の日常を綴っています
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人を育てるということ

今年もあとわずかになりましたね。

今日は天皇誕生日でクリニックもお休みです。

週末も合わせて年末休暇の前に3連休という方々もいらっしゃるのでは?

みなさんどんなクリスマスを過ごされますか?


クリスマスと言えば。。プレゼント。。。


クリニックに来て、クリスマスプレゼントのくじ引きをわしづかみにして離さない小さな子供をみて、ふと思いだしたことがあるので、今日はそのことをお話しようと思います。


幼い頃、何かの折りにおもちゃを買ってもらう時、母にデパートのおもちゃ売り場に連れて行かれ、「今日は、**円以内で好きなものを買ってもいいよ。欲しいものが見つかったら、母さんにみせてね」と告げられて、1時間ほど自由におもちゃ売り場を探させてくれていました。

普段は、あまりそういう機会がないので、兄も私も、いろいろな魅力的なおもちゃに目移りしながら、その中で悩みに悩んでたったひとつ。。これぞというものを買ってもらったものでした。

その時の様子を亡き母が生前、日記で回顧している文章があったので、今日はちょっと紹介させていただきたいと思います。

母と兄に随分愛されて育ったちゃっかり屋の甘え上手の私のエピソード。。。
ご紹介するには、ちょっとお恥ずかしい部分もありますが。。
「あ~。。内海にも、こんな時があったのか。。」と笑いながしてくださるものだと信じつつ。。。

まずは。。。原文をどうぞ。。。

拍手[2回]




**(兄の名前)、晴美、覚えていますか?
おまえ達におもちゃを与えるとき、母さんは、予算内でしか買ってあげなかった。
「今日は、千円で選びなさい。」
「今日は少しお金が入ったから、二千円以内でいいのを選びなさい」とデパートのおもちゃ売り場に連れて行って、自由に選ばせたのです。

三歳だった晴美はすぐに自分の好きなおもちゃを見つけてきて、
「これ買える?」
とたずねる。

みると千二百円。。。二百円のオーバーだ。

「だーめ。少し高いからもう少し安いものを選びなさい。」

そう母さんがいくら言っても、それを離そうとしない。

何分も時が過ぎてもまだ迷ってあせる心と弾む気持ちでなかなか決まらない**。。。

やっとみつけて
「これ買えるかなぁ?」
とたずねる。

みると七百五十円。

「そうね。これなら買えるよ。」

というと、「ふぅ。。。」と必ず、ため息をつく子だった。

そして、安心したような顔をして、高いおもちゃをもって離さない晴美にはじめって気がつき、
「どうしたの?」とたずねる。

「少し、高いからダメだと言っているの。それなのに、あれがいいんだって。。。ずるいよね。」

「うん。。。」

といいながら、こくりと大きな頭でうなずく。

そして、

「みぃちゃん(私の幼名)、それがいいの?でも、それはダメだって。。。」

そういいながら汗をかいてさがしてやる。

「ダメ!みぃちゃんはこれがいいのっ!!」

すると。。。

「お母さん、みぃちゃんはあれがいいんだって。。。わがまま言ったらいけないね。でも。。かわいそうだね。」

母さんと晴美の顔をかわるがわる見つめる**。

そういう兄に助けを求める晴美。。。


母さんは心の中で計算する。
**ので750円、晴美のが1200円。。。予算より50円のおつりが来る。

「まぁいいか。。」

甘い、甘いと思いながら、

「**は、本当にそれでいいのね?」

「うん、ぼくはこれがいいんだ。」

「みぃちゃんは、どうしてもそれなのね?」

「うん、やっぱりこれがいいの。おねがい!お兄ちゃんもお母さんに頼んで?」
と、すがるようにそておもちゃを抱えた身体で、甘えていく晴美。。。

「よし!決めた!それにしよう!」

二人を連れてレジに行く。

50円のおつりを**に、
「はい!これはあなたの残り!」と渡すとそれを晴美は決して見逃さない。

晴美も50円要るのだとまたおねだりが始まる。

「いけません。」

「ずるいよ!お兄ちゃんだけ!」

「ずるいのはどっちなの?」

「だって2000円で買えたでしょう?」

「それは脩兄ちゃんのが少し安いので我慢したから。。。だからみぃちゃんのが買えたんでしょう?」

はじめて**は、自分のが晴美のより安いものだと気がつく。

「お母さん、みぃちゃんのはいくらだったの?」

お母さんは困った。。。

「50円だけ安かったの。**兄ちゃんのが。。。だから50円あげたでしょう?」

「そうか。。だったらみぃちゃんにあげる!」

人のいい**は、すぐに晴美の小さな手にその50円を渡す。

「やったぁ!」と言わんばかりに晴美は得意げな顔をしてうさぎのようにぴょこんと跳ねる。。


おもちゃは、親が一方的に買い与えるより、予算内で自分で考えて選択してこそ、自分の大切なおもちゃになることを母さんは、おまえ達二人の姿を見て思う。

晴美のからすると450円も安いおもちゃを選んでもそれに満足している**の顔を見て、これでいいのだと思う。

また、お兄ちゃんに甘えて、大事そうに両の手でおもちゃをしっかりと握って離さない晴美もまた、満足そう。

それを見る母さんは、もっと満足でした。

ちゃっかり屋の晴美とお人好しの**。。。

それは今でも変わらない。

母さんが死んだあともいつまでも仲のいい二人でいてほしいと祈りをこめる。。。



母が、私と兄を語るとき、毎回と言ってもいいほど口にするエピソード。。。
ちゃっかり屋の私に、妹思いでお人好しの兄。。。

何気ない普通の家庭で見られる、何気ない光景なのかもしれませんが。。。

大人になってあらためてこのエピソードを思い出すと、いろいろな大切なことが詰まっているように思います。

自分のほしいものをたくさんの中から迷いながらもひとつだけ選択するという、迷いと決断。
人に与えられたり、勧められたりするのではなく、自分で選ぶという自己決定の大切さ。
自己に与えられた許容の中で、あきらめたり、譲り合ったりする人としての情感。

確かにその幼い私は、母と兄の愛情で、わがままを貫いたのかもしれません。
でも、私がそのままわがままな娘に育たなかったのは、ことあるごとに我が家の笑い話として母からいつもこのエピソードを聞かされ。。。。
親子三人で大笑いしながら、その時々の心の成長に応じて、苦笑しながら、自己の行動の甘えや恥ずかしさを感じ取り、人と分かち合うことの大切さや見返りをもとめない思いやりに気づかされ、大切にされていたことをあらためて思い感じる時が与えられたからだと思います。

子育てのポイントは、子供を信じる心と、親としての一貫した信念、そして長期にわたる継続性につきるのかもしれませんね。







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